TRAK Gear Flotation Dry Bagsの特徴と使い方

TRAK 2.0には60L Gear Flotation Bagsが標準で付属し、オプションでもう少し長さが短いタイプの40L Expedition Gear Floatation Bagsもあります。

どちらも十分な安全を確保するための浮力体であり、荷物を濡らさずに船体内に収納できるドライバッグとしての機能も兼ねています。

TRAKのGear Flotation Dry Bagsは、空気を入れるとTRAK 2.0の船体内にピッタリとフィットする形状をしています。

この形状は船体とバッグの間にできるスペースを極力省くことができるため、カヤック内に浸水してしまった際の浸水量を抑えることができ、最大限の浮力を確保します。

また、船体内のスペースを隅々まで無駄なく効率的に使って荷物を収納することができる形状でもあり、荷物の出し入れもしやすくしています。

円錐形のドライバッグがフォールディングカヤックに適している理由

TRAKのGear Flotation Dry Bagsは「船体内のスペースを隅々まで無駄なく効率的に使って荷物を収納することができる形状でもあり、荷物の出し入れもしやすくしています。」と書きましたが、それについて説明します。

まず最初に、ハッチのあるフォールディングカヤックもありますが、フォールディングカヤックのハッチは付いていても小さな荷物の出し入れに使える程度で、ハードシェルカヤックの荷室のハッチと同じように機能するわけではありません。フォールディングカヤックのハッチは荷物の出し入れには補助的な役割りを果たすものに過ぎず、メインの荷物の出し入れに適しているわけではないのです。

バウ側

フォールディングカヤックのバウハッチは付いていてもほんの小さな荷物の出し入れにしか使うことができません。または、荷物を先の方へ押し込んだり、コックピット側へ引き出したりする際に手を入れる穴としての役割です。

バウ側はペダルのあるところより先の部分に荷物を入れることになるため、コックピット側からは手が届きにくいのですが、どんなフォールディングカヤックでもバウ側に荷物を積む際は主要な荷物をコックピットから出し入れすることになります。

となると、荷物がまとまっている方が断然出し入れはしやすくなります。と言うより、荷物がまとまっていないと非常に不便です。

そしてバッグがカヤックの形状に合った円錐形をしていないと隙間が多くできてしまい、大変非効率です。

そのため、私はFeathercraftとFjita Alpinaどちらを使用する際もバウ側に入れるドライバッグは大きめの円錐形のドライバッグ1つのみ(Alpina用にはフジタカヌーにオリジナルの円錐形のドライバッグの製作を依頼し、その後他店でもそのドライバッグが販売されています)でした。

そして、私の場合はバウに小さなハッチがあっても使うことはなかったため、これを付けても劣化する箇所と浸水する箇所と組み立ての手間を増やすだけと考え、自分のFeathercraftにもAlpinaにもオプションのバウハッチは付けたことがありません。

TRAK 2.0にもバウハッチはありません。バウハッチがあった方が便利だという意見もありますが、小さなバウハッチの穴から出し入れすることのできる程度荷物であれば、小さなドライバッグに入れてデッキに固定するか、コックピットの中に入れてしまった方が良い(TRAK 2.0に付属のTRAK Custom Spray Skirtにはデッキ面を外さなくてもコックピット内に手を入れることができる穴がり、もちろんその穴は密閉のできるポケットもあります)というのが私の考えです。

バウハッチがなくてもGear Flotation Dry Bagsがあれば全く不便を感じることなどありません。

スターン側

バウ側の荷室として使える部分はペダルより先ですが、スターン側はシートより後ろが全て荷室として使えますので、自ずとスターン側の方が積む荷物の量が多くなります。

TRAK 2.0のスターンデッキにはKeder Closureがあり、ここが大きく開くので、全ての荷物をコックピットから出し入れする必要はありません。

出し入れする頻度の多い荷物はGear Flotation Dry Bagに入れずに、Gear Flotation Dry Bagの上やコックピット寄りに積んでおくといったような使い方ができます。

しかし、カヤックを置いた場所からキャンプサイトまで荷物を運ぶ際なども、荷物がまとまっていて運ぶ荷物の数が少ない方が便利です。

結局のところ、バウ側もスターン側も荷物は大きなドライバッグにまとめて入れられる方が何かと便利と感じることの方が多いということです。

弱点と思えることが逆に利点ともなる

ハードシェルカヤックのような隔壁を設けられないことはスキンオンフレームカヤックの弱点とも捉えられます。

そして、ハードシェルカヤックの荷室のハッチは荷物を出し入れしやすくて便利です。

しかし、あまり長い物や大きな物の出し入れができないため、荷物は小分けにして積むことになります。

逆の観点から考えると、ハッチからは出し入れすることのできない長さでさらに無駄のない形状をしたドライバッグをコックピットから出し入れすることができるのは、隔壁のないカヤックの利点ともなるわけです。

そして、そのバッグが浮力体を兼ねているのですから、こんなに合理的なことはありません。

使い方

TRAKのGear Flotation Dry Bagsの具体的な使い方は以下の通りです。

荷物を入れず浮力体としてのみ使用する場合

荷物を入れずに浮力体としてのみ使用する場合は、オプション設定の40L Expedition Gear Floatation Bagsより、標準装備の60L Gear Flotation Bagsの使用を推奨します。特にスターン側は40L Expedition Gear Floatation Bagが1つだけでは大きなスペースができてしまいます。この空いたスペースに何も入れないのであれば、スターン側には標準で付属する60L Gear Flotation Bagを入れてください。

以下が使用手順です。

  1. バッグの口を開いて左右に振ってバッグの中になるべく多くの空気を取り込んでからロールトップクロージャーを巻いて口をしっかり閉じます。Assembly 101ビデオの中でこの作業をしているシーンがありますのでご参照ください。
    1. 60L Gear Flotation Bagのロールトップクロージャーは最低5回タイトに巻きます。
    2. バウ側は、ペダルの位置に応じてロールトップを巻く回数でバッグの長さを調整します。
    3. バウ側に60L Gear Flotation Bagを入れry場合は、体格によってロールトップを巻く回数がかなり多くなることがあります。
    4. 40L Expedition Gear Floatation Bagもロールトップになっていますが、荷物の出し入れ口は防水ジッパーとなっています。このロールトップは荷物の出し入れ用の口ではなく、二重の防水機能を果たすためと、バッグの長さ調整をするためとバッグの出し入れの際の取手として使用するためにあります。
  2. バッグの中の空気の量が少ないとバッグがひしゃげて船体の中に入れにくくなってしまいます。バッグの形が崩れてしまうようなら、空気封入用のホースから少し空気を入れて(入れすぎないように)形を整えます。
  3. 船体内の先の方までバッグを押し込みます。
  4. 空気封入用のホースはカヤックの中にセットした後でもコックピット側に届く十分な長さがあります。ここからバッグが船体内部にピッタリとフィットするまでしっかりと空気を吹き込めばセット完了です。

手順2.の通り、バッグが円錐形の形を保つまで空気が入っていないと船体内の先の方まで入れるのが難しくなってしまいますが、逆にバッグがパンパンに固くなるまで空気を入れしまうと途中でつかえてしまいます。程々に膨らましてから船体内にセットして、その後にしっかり膨らますことがポイントです。

荷物を入れる場合

基本的な手順は荷物を入れない場合と同じですが、荷物が入ってバッグが膨らだり重くなっていたりすると手順1.のようにバッグの口を開いて左右に振ってバッグの中に空気を取り込むことはできないため、余程荷物が少ない場合以外この工程は省かれ、まずは荷物をバッグの中にパッキングし、その後に手順2.以降に進むことになります。

荷物の詰め方の基本は下記の通りです。

  • なるべくバッグの先の方に軽い物を入れる。
  • 重い物はなるべく手前に入れる。
  • 荷物を重ねる場合は下に重い物。
  • 左右のバランスがなるべく均等になるように入れる。

などです。

その他にも、

  • 60L Gear Flotation Bagのロールトップクロージャーを巻く回数は確実な防水性を確保するために最低5回でタイトに巻く。荷物を詰め込める量は、ロールトップを5回巻ける分の余裕を残しておける量ということになる。
  • バウ側はペダルの位置に応じてロールトップを巻く量でバッグの長さを調節する必要があるため、荷物を入れる量はその分も計算に入れる必要がある。

などもパッキングの際に注意が必要です。

40L Expedition Gear Floatation Bagsが便利な場面と優れている点
  • 60L Gear Flotation Bagより長さが短いため、スターン側で60L Drybag Backpackなどと組み合わせて使う場合などに便利です。
  • バッグの長さが60L Gear Flotation Bagより短いため、バウ側では脚がかなり長い人(ペダルを前の方にセッティングする人)でもロールトップを多く巻く必要がありません。
  • 防水ジッパーはロールクトップロージャーより防水性能が確実(ロールトップクロージャーもタイトに5回以上巻けば防水性に問題はありませんが、巻き方が緩い場合や巻く回数が少ないと浸水する恐れがあります)で、さらにロールトップクロージャーと併せて二重の防水となっているため、より防水が確実です。
  • 60L Gear Flotation Bagsにも非常に丈夫な素材が使われていて全く問題ありませんが、より頑丈で耐久性の高い素材が使用されています。

船体内からバッグの抜き方

バッグ内を膨らませたまま引っ張り出すのではなく、まずは空気封入口のバルブを開け、空気をある程度抜きます、その後にロールトップを掴んで抜き出します。

安全性に関して

「Gear Flotation Bagsに荷物を入れてしまったら、浮力が足りなくなってしまうのでは?」と訊かれたことがあります。

Gear Flotation Bagsの中を液体や砂のような物で完全に満たしてしまったら確かにその可能性はあります。

しかし、キャンプ用品などの普通の荷物を積むのであれば、Gear Flotation Bagsを船体内にセットした後、ホースから空気を封入できる空間は必ず残ります。

比重が異様に高いなど余程特殊な荷物を積むのでもなければ(TRAK 2.0の最大積載量はパドラーも含めて159kgです。当然それを超えていないことも前提です。)、沈脱するなどしてもカヤックが沈んでしまわないだけの浮力は確保できます。

或いは、Gear Flotation Bagsは隔壁で隔てられたハードシェルカヤックの荷室とほぼ同等の状態と考えられます。Gear Flotation Bagsに荷物を積んだら危険と考えるのであれば、隔壁のあるハードシェルのシーカヤックの荷室に荷物を積むことも危険ということになります。

二重の安全性を確保

このようにGear Flotation Bagsはスキンオンフレームカヤックの安全性を確保する上で非常に重要な装備で、TRAK 2.0にとっては必須の装備です。

しかし、人間が乗る部分以外にもGear Flotation Bagsと他の荷物以外には多少なりとも隙間が残ってしまい、残った空間全てが浸水する部分として残ることになってしまいます。

ところが、シーソックを装着すればコックピットからの浸水はシーソックの中だけに留めることができ(完全ではありません)、大幅に浸水量を抑えることができます。

シーソックを装着すれば、装着していない状態よりビルジポンプなどで排水する量を大幅に減らすことができますが、シーソックのある無しは排水作業の労力と時間に大きな差を生じさせることになります。

そして何より、Gear Flotation Bagsとシーソックの併用は二重の安全性を確保することになります。

また、乗り降りの際にコックピットから入ってしまった砂などは船体布とフレームを傷める原因となり、掃除の手間も増やしますが、シーソックを装着していればそれを防ぐこともできます。これはシーソックのもう一つの大きな利点です。

Gear Flotation Bagsだけでなく、シーソックと併用することを強く推奨します。

機能に対する理解は肝心

「このエアバッグ(浮力体)は船体に入れにくくて非常に使いにくいから使いたくない」と言った人がいました。

しかし、その人の様子を見ていたら、バッグをパンパンに膨らましてから無理やり船体内に押し込もうとしていただけでした。

空気封入用のホースが長い理由を全く理解していないだけだったようです。

シーソックの使い方などについても然りで、雑な使い方をすれば誤解を生じるだけです。

ここでご紹介したようにすれば(Assembly 101ビデオでも同じような説明をしています)、全く使いにくいと感じることなどありません。

TRAKのGear Flotation Dry Bagsは大変丈夫で使いやすく、スキンオンフレームカヤックにとって本当に合理的な装備であることは確かです。

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